江川達也『東京大学物語』叩かれるような出来じゃないでしょ

江川達也は『BE FREE!』ぐらいしかまともに読んでいなかったのだが、ネット界隈で『東京大学物語』や『日露戦争物語』がよく叩かれているので気になっていた。

そこで両作品を読んでみたのだが「普通に面白いじゃないの」という感想。『日露戦争物語』の終盤は矢尽き刀折れという感じで無理やり文章で説明するしかない感じが見ていて心苦しくはあったが、そこまではじゅうぶん楽しめた。アシスタント全員に逃げられたという時期なのかね、これは。

東京大学物語

さて『東京大学物語』についてであるがオチが酷いマンガというと必ず名前が挙がる。でもなぁ、通して読んだ感じでは物語の締めかたに悪印象はなかったというか、むしろエピローグと合わせたら好印象といってもいいぐらい。オチをある程度事前に知っていたからというのもあるかもしれないけどね。それまでの描写とラスト数話の対比は見事だと素直に思った。このエピローグ無しで夢から醒めたところで終わっていたら非難されてもしょうがないとは思うけれど…。

これがアウトで久米田康治の『かってに改造』や『さよなら絶望先生』の締めかたに感動というのは個人的にはちょっと納得がいかないかなと思う次第。そりゃ細かい描写で矛盾があるかもしれないけれど、たぶんこのオチはかなり早い段階からちゃんと構成を考えて決めていたはず。暴走の結果収拾がつかなくなってあのオチという可能性はまずないと思う。

村上の妄想というかガキの頭で思い描く未来なんて大した事なくて、現実にはもっと面白くて予想のつかない事が待ってる(かもしれない)って対比をより強烈に出したいがために暴走に暴走を重ねたんじゃないかと思うんですわ

東大というか大学受験批判的な面が目立つが、連載スタートが1992年だからね。第二次ベビーブームの子供が受験生や大学生になったあたり&バブル崩壊直後ぐらいの時代なわけで今と同じ感覚で捉えちゃダメ。価値観にせよ何にせよ今とはかなり違う時代に描かれた物だという認識や知識がないと何故こういう切り口で描いているのか理解できないかも。同年代に描かれた作品を例に出すと山田玲司の『Bバージン』とかやね。

「夢オチだからダメ」みたいな決め付けやネットの評判に惑わされずに読んだほうがいいんじゃないかなーと。『帝一の國』『コードギアス叛逆のルルーシュ』『デスノート』みたいな設定上は頭脳明晰・天才キャラクターの奇行・変顔・思考の空回りを楽しむ?系が好きなら試しに読んでもてもいいんじゃないのと思います。

TVとか見ないんでバラエティ番組で江川達也のエセ文化人ぶりが……云々はよくわからんです。Youtubeで語っている所を見たり文章を読んだりしたら掌を返すかもしらんですね。ただ個人的には作者の人格や言動と作品の出来はあまり関係ないと思っとります。

ただまぁ、この作品の終わりかたを理解しない人が多かったというのは江川達也の予想以上だっただろう。彼の持つ一般の読者像に対し相当に影響を与えてるんじゃないかな。

 
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