永野護『ファイブスター物語13巻』何年ぶりの新刊や?

何はともあれめでたい。
異様に刊行ペースの遅いマンガも色々あるが、その中でもトップクラスだなぁ。お気に入り度もトップだからいいんだけど。しかし何年ぶりだ、これ?その前の単行本、ページの端がもうヤケちゃってるわい。

連載時のカラーページ?というかコマ?も再現してあるとは思わなかった。単行本では描き変えると思ってたんだが。でも紙質が荒目だからあんまりキレイじゃない…。そこだけ違う紙でも違和感あるからバランスとしてはこれでいいのか。


さて、この巻からデザインが一新。ロボットもモーターヘッド(MH)からゴティックメード(GTM)へ更新。賛否両論あるようだが、自分としては肯定です。そりゃあ、デザインの発表だけで結局劇中には登場しなかったものとかはもったいないとは思うけど。

いや~、だって最初のほうのデザインは30年前の物だし。装甲換装とかでリファインするのも限界がきてたんだろうなぁ、と思いますわ。何というかGTMダメだからMH使い続けろってのはWindowsでいうとXPや2000どころか95や3.1、いや時代的にいったらMS-DOSをアップデートし続けろといってるようなもんです。OS界の違法建築のようなMeちゃんみたいになるよりは一新しちゃったほうが潔い。

これでキャラクター達の人格や話のノリが変わってしまっていたら見放したと思うが、そちらは全然変わってなくて一安心。

やっぱり物語のメインは人物達でありお話なので、そこは変えちゃいけないと思う。でもロボットや衣服・小物類のデザインや科学考証みたいなのは時代や作者の感覚に合わせて変えていっても問題ないんじゃないかと思うんですよね。これまでも微妙なデザインは適当な理由をつけて別のものに差し替えてきたりとかしてきた訳です(クロスミラージュの雄→雌とか)。そんで小手先の小変更じゃなくてフルモデルチェンジの機会がきたから一気にやっちゃった。

CHARACTERS4『FATIMA』で書かれているんだが「ほとんどのMHデザインは手抜き」で「本気でデザインしたのはエルガイムMkI&MkII、バッシュ、オージェ、グルーン、キュベレイ、リックディアス、ナイチンゲール、そんでMHのアシュラテンプル」(1989年当時)。昔は「ふーん」ぐらいの感じで今イチ実感できなかったのだが今の目で見るとなんかわかるわ。確かにこれらは古びていないし

それにしても「GTMのブロック構造にして描きやすく(立体として捉えやすい)したはずなのに、ごまかしが利かなくなっちゃったのでかえって手間がかかるようになった」のくだりはすんごく納得というかなんというか…。

MHの動いているコマなどに動きを感じないのが不思議だったのだけれど、騎士やMHの動きは速すぎて見えないので止めの瞬間しか見えないというのを聞いて納得。映画のゴティックメード観とけばよかったかなぁ、映画館苦手なんだよね。そのうちレンタルで見ようと思ってたらアテが外れた…円盤化しないのね。

キャラクターズ・デザインズetc

キャラクターズやデザインズのような設定画集は読まなくても大丈夫という事になってはいる。だけど、単行本だけだと情報量が少し足りないので本を読み慣れていない人は厳しいかもしれない。情報と情報の点と点の間つないで線や面として捉える事ができるのであればこれらは格好の材料になる。

デザインに添えられた永野護の説明文がけっこう好きな人だったら損はないかな。古い少女マンガの1/4スペースとか巻末に後書きみたいなノリが好きな人なら楽しめるはず。

まあ、金額に見合うかといわれるとちょっと苦しいけど。見た事のあるデザインばかりで文字情報が少ないやつなんかは特に割高感があるか。もう使われないデザインを見るために…ってのに抵抗があるのなら止めとくのが無難。たぶん即物的な人には向かない。

30年間でのデザインや考えの変遷を追っていくのに興味があれば価値アリ。それと同年代に刊行された単行本よりも印刷の質が良いのがポイント。色の再現など、キャラクターズ・デザインズに掲載されたものよりも単行本冒頭のカラーページはかなり劣ってるし。

ついでに書かれている内容のブレに対する耐性がつくというか惑わされなくなるというか……。「…の…Pにこう書かれているっ!」みたいに決め付けでなく、幅を持ったニュアンスで捉えられるようになります。というかFSSに限らずそういう感じで物事を捉えられるようになったほうが良いと思います。

こんな感じですかね。


マンガもそろそろ文化として成熟してきた。かつてのように全てが読み捨て扱いという事もなくなったし、大人がマンガを読むのも当たり前に認められるようになった。

週間連載のようにコンスタントにその回その回を楽しませて更に長期連載を狙うようなスタイルもあっていい。でも、こういうとことんマイペースに進めていく作家がいてもいい、そう思う。それで読む側が納得できるのなら商売としてじゅうぶん成立するわけだし。

『拳闘暗黒伝セスタス』の技来静也、あしべゆうほの『クリスタルドラゴン』とかね(こっちのマイペースっぷりも恐るべきものがあります)。小説家だと神林長平とかやね、質は高いのにほんと寡作でねぇ…。

マンガという表現形態で質と量産性の両立には無理があるんで、こういう二極化はこれからもっと進んでいくし認められていくだろう。

 
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