『神の雫』ワインを題材にしたリアクション対決マンガ

そこそこ面白いが、はっきりいって最初の1~2巻ぐらいまでの印象は良くなかった。読み進めていくとじわじわ評価が上がってく感じなので、まとめて4~5巻ぐらいまでは読んだほうがいいかも。でもあまり期待しすぎちゃダメです。

話の基本フォーマットは『美味しんぼ』とアニメ版『ミスター味っ子』あたりから始まった?リアクション芸の合体ロボ。グルメ系ではあるが料理を作るのでなく味わう側として『焼きたて!!ジャぱん』のリアクション芸を対決の主題に持ってきたマンガだ。

話について

高名なワイン評論家だった亡き父の遺産相続を賭けてワインのテイスティングバトル?なのだが、その内容は父の選んだ12本のワインとそれを従える「神の雫」を表現した文章から1本づつ捜し当てるというものである。勝敗は銘柄当てだけでなくそれを選んだ根拠や味わった時の表現によって決まる。

そして対決の場で実際にワインを味わった時にリアクション芸が炸裂するのです。まあ、イメージ映像というほうが正確かもしれないけど。主人公とライバル遠峰一青が二人で同時にクレオパトラの復活を幻視した回はさすがに爆笑しかけましたわ……

原作の亜樹直氏はあのキバヤシ氏らしい。お話や人間模様は良く言えば王道、悪く言えばありがちで意外性に欠ける。先の展開は見え見えな事が多いのだが、これはある程度意図的なものだろう。読めているがゆえに「いつそこに触れるんだ?」という期待を読者にさせてじらす効果を狙ってる気がする。伏線張ったまま忘れてるんじゃねーの?と思わなくもない部分もあるが、昨今のアニメみたいに伏線即回収みたいなのよりはマシだ。

 
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キャラ作りに関して

キャラは全体に薄くて、メインにわかりやすくエキセントリックな濃ゆ~い魅力のある人物がいないのが物足りない。小池一夫の作劇とは真逆かな。一応はライバルのワイン評論家「遠峰一青」がその奇人変人ポジションか。彼の奇行と陶酔した表情を何度も見ていくうちに条件反射で「お……おぉ……お……」を見ただけで吹き出しそうになると思います。

主人公「神咲雫」はワインに関しては無知なのだが、父から施された英才教育で知らず知らずのうちに感性やら何やら磨かれていた…という設定。主人公の無知設定はこういう話の場合、周りの人物描写に無理が出ないのが利点。逆パターンの場合は「お前ら自分の携わってる分野でそんな無知なのかよ…」という風に見えちゃう事が多いのだよね。シャーロック・ホームズでワトソンがおバカすぎるみたいなもんです。

できたら本間さんのような非イケメン枠をもうちょっと扱い良くして欲しいところ。初登場時の切れ者感はどこにいっちゃったんでしょう…。

絵はすっきりキレイ系

特に美男美女を描くのが非常にうまい。頭部の描きかた、特に顔のパーツなんかを見ても模様じゃなくてちゃんと立体として捉えている印象。でも、キャラの薄さのせいもあるかもしれないがどこか整形・マネキン的なキレイさなのだよね。

序盤の絵は技術的に確かなぶんおかしな所がないからそのまま目が素通りしちゃう感じ。キレイで上手いのだけれど全てのページが同じ調子で描かれているので余計にそう感じる。

巻が進んでくると原作者の作ったキャラから自分のキャラとして掴めたのか崩したギャグっぽい絵も増えてきたり、表情も多彩になっていったりとバリエーションが豊かになる。そのコントラストで決め絵が引き立つようになった気がする。

テイスティングの表現

テイスティングの表現で名画などを例えに出す事が多いのはちょっとなぁ。登場人物の経験・教養の設定からそういう美術作品が喩えとして出てくるのは別におかしくも何ともない。けれど、それがまるでwikiやガイドブックの丸写しのような美術作品の説明なんだよね。恐らく読者への説明のためなのだろうが、そのせいで何とも安っぽく薄っぺらい印象になっちゃってる。『頭文字D』で読んだ知識しかないのに車に例えちゃう人…みたいな感じに見えるのよ。

これが単に作品名を出しただけの時は気にならないんだけどね…。普通の言葉で紡いだ表現のほうがはるかに魅力的だと思ったです。

巻末コラム

単行本巻末にはワインの蘊蓄やコラムなどあれこれ書かれている。しかし活字中毒の自分としては珍しくというか異常事態なのだが、これに目を通す気になれなかった。自分はワインに関する知識が碌にないので変な先入観や余分な知識を入れたくないという心理が働いたようだ。知識がないと間違った事が書かれてても判断できないからね。

料理・グルメ系マンガの蘊蓄はどうにも怪しい事例が多いじゃないですか。劇中の描写は眉に唾してかかるから大丈夫なんですが、文章だとうっかり頭に入ってしまいそうなのが怖い。

こういう巻末コラムで知識系の分野なんかはきちんと調べて書いてあるのだとは思うのだけれど。どうせなら自分で選んだ本でちゃんと勉強したいし。

 
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