新谷かおる『ガッデム』珍しいラリーマンガ

新谷かおるの作品の中ではマイナーなほう?ラリーを題材にしたマンガって珍しいんじゃないかな。『バランサー』と同じくどう見ても打ち切りものですが、あちらと違ってグダグダではありませぬ。

全5巻と短く内容もそこそこまとまっているので、新谷マンガ初心者に魅力を伝えるのには『ふたり鷹』『エリア88』のような長編作品より読みやすく向いている…かもしれない。


描かれたのは1980年代末。日本車が売れすぎてジャパンバッシングで車や国旗を燃やされてりしてた頃。石原慎太郎の『「No」と言える日本』もほぼ同時期ですね。露骨なバッシング描写はないけれど、そのへんの時代背景を頭に入れて読んだほうがいいかも。

掲載誌がスピリッツ(たしか)だった事もあってちょっと対象年齢を上げようとしてた感じ。ラリーという競技そのものだけでなく、それをスポンサードする企業や車のメーカーについてのうんちくも描かれててそれが結構興味深い。過剰品質とかこれで知ったもんなぁ。


主人公の轟源(ゲン)は『ファントム無頼』の豪快な神田タイプ。
栗原系の六甲寺司はナビ…じゃなくて総合商社「聖王グループ」の重役。ラリーのスポンサー側で企業の理屈描写担当。
ついでになぜかエリア88の安田さんもスターシステムで出てたり…。ナビゲーターのロヴもA88のキムに見えなくもなかったり。

面白いマンガだと思うんだが、最後の5巻終盤の詰め込みっぷりから察するに打ち切りくらったっぽい。最初のサファリは王道、次のオリンパスが1300ccのファミリーカーで上位入賞とかなり派手だったのに、そこから三沢自工でWRCにエントリーできずグダグダ展開が続いてたのが人気に響いたのだろうか?3つめのスウェーデンラリーで終わりになってしまったが他のステージも見たかったんだがのう…。ヒロインなんてほとんど出番ないまま終わっちゃったし。

オリンパスラリーでの問題発言?は関係ないですよね…。

友人が爆笑した問題発言

「こんな事書いていいのかよ」と友人が爆笑した問題の1コマ(4巻P27)

企業ものとしても展開していけるようネタはあれこればら撒いてあったんだけれど活かされないまま終了。時期が時期だけにこちら側の展開も面白くなったはずなんですがね…。

というか、「扱う人がほとんどいなかったラリーもの」+「バッシングの最中にある日本企業、特に車メーカーがどう生き抜いていくか」なんていう隙間と旬の題材をテーマにしてる訳です。メジャー誌での連載だし企画の段階から狙いに狙いまくり練りに練りまくってたはずなのですよ、この作品は。

ワンパターンと思われたのか掲載誌の読者層と合わなかったのか。過去の人気作品を読んでた層がちょうどスピリッツとか読む年齢になってたはずだからダメじゃないと思うんだけどなぁ。

絵柄が少年マンガっぽいままだったからそのせいか?少年キャプテンあたりで連載してたらもっと続いてたかも。

これの後で描かれたF1とインディ500を題材にした『ジェントル萬』や21世紀になってから描かれたラリーのナビゲーターマンガ『NAVI』よりこっちが好きです。というか新谷マンガの中でもトップクラスに好きなんですよね。それだけに「もったいない…」という気持ちが抑えきれんのですが。いつもの乗り物系新谷マンガが好きなら期待を裏切らないはず。

これでラリーを知ったせいで後にセガラリーだのコリンマクレーラリーだのにハマったんだよなぁ。

 
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