Ambient Design 「ArtRage4」感想

Artrage4

※萌え絵を描く人の参考にはなりません。
いわゆる画材再現系ペイントソフト。Painterより安価でsteamでも購入可能。まだ使い込んでるわけではないので、あくまでファーストインプレッション。いちばん自分が使い慣れてる油絵具の再現度はどうなのか?


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メインの扇状パネルUIは左下隅固定で描画中にカーソルが近づくと隠れる仕様。オサレなんだけど表示内容は一切いじれずあまり使い勝手がよくない。もうちょっとカスタマイズできればとも思うが、これは慣れの問題ですね。ブラシの履歴は無いが作成したブラシを登録してリスト表示はできる。

レイヤーは何枚まで使えますか?ってそういうソフトじゃねぇから、これ。そんなモンが何十、何百枚も必要な人は別のソフトと連携するなりしてください。

画材の再現

油絵具の再現度はPainerのほうがかなり上。絵具を混ぜたり、絵具の上に絵具を乗せた感じはPainterの方がそれらしい。後述する筆圧の関係もあって、なんかArtrageは絵具を筆で掻きわけちゃってる感じの混ざりかたなんですよね。画面上で色を混ぜてグラデーションとかもArtRageはちょっとやりづらいというか違和感がある。筆じゃなくてペインティングナイフのブラシ使えって事なのかな。

細かい再現はPainterよりは落ちるけどSAIなんかと違って白が普通に白として使えるから、大まかな色の混ざりかたは実物からかけ離れてはいない。中間調→陰→明部って基本パターンもレイヤーとかで分けなくてOK。

筆洗の概念はナイス。下地と混ざった絵具のほうが馴染む時もあればパレットで混ぜた絵具をそのままの発色で置きたい時もある。本物の絵具だと筆をキレイに洗うのって手間だったからね。筆の根本に絵具が残ってたりして色が濁っちゃったりするから、こういうのは素直に嬉しい。

画溶液(薄め液)の概念があるんだけど調整の幅は狭いかな。どうせなら乾性油と揮発油の割合を設定できればいいのに。テレピンでシャバシャバに溶いたりみたいな再現は無理っぽい。うすめ液を増やした時の混色は違和感ありすぎ。まあ、そこまでの再現は必要ないという判断になるのもしょうがないか。

ブラシについて

画材の種類は消しゴムを含めて15種類、まあ必要十分ではある。無い画材も似たようなので代用できるんじゃないかな。キャンバスや画用紙などの支持体は種類少なめ、自分で画像を用意すれば追加可能。キャンバスの目をF50号相当に見える大きさにサイズを設定した場合、刷毛がなくてブラシの幅を最大まで広げても足りないのがちょっとイヤ。大面積は塗り潰しツールを使うべきなのか。刷毛でニュアンスつけたい時があるんだけどな。
※追記:サイズの数字を直打ちすれば100以上に設定してもっと太くできるそうな。

ペンの傾きに対応してるブラシはないみたい。けっこうガッカリポイント。Saiなんかだったら傾き検知は要らないんだけど、画材再現系では傾き検知があると「それらしさ」がやっぱり違う。鉛筆や木炭を寝かせて面で塗れるとデッサンとかしたくなるんだけどな。いちいちスライダー動かしたり、寝かせた角度を設定したブラシを使いわけるのは面倒。ArtRage3.5の時はエアブラシとか傾き対応してた記憶あったんだが。

難点

筆圧とブラシの太さが連動していて切り離せないのはちょっと困る。平筆(四角いペン先)で筆圧弱くすると細~い線になるのよ。丸筆ならわかるが平筆でもこの設定はおかしいだろ、常識的に考えて。丸筆のほうが違和感なく使えます。入りと抜きが平筆だと変だわ。濡れた絵具の上にそっと絵具を乗せるみたいなのは無理だね。筆圧かけてグイッと乗せるか、下地を乾かしてから乗せるしかできない。あれ?濡れた絵具の乾かしかたがよくわからん。レイヤーで分けるしかないのかな?
あと、実際に筆が見えないので穂先のコントロールが何ともやりづらい。慣れるしかないのか。

※1/21追記。各筆のスタイラス設定でサイズを反転で平筆らしい再現が可能な事に気づきました。デフォルトの平筆でもこの設定にしておいてくれれば気づいたのに。
※1/24追記。ブラシの”形状”というパラメータは小さめに設定すると筆の軸に対して水平、垂直に線を引く使いわけが可能になり、実際の筆らしくなります。

Artrage3.5の時は日本語ヘルプがあったんだけれどArtrage4からは英語ヘルプのみ。まあ、大した事は書かれていないので問題ないといえば問題ないけれど、初心者には敷居が高いかも。

さんざん文句ばっかいってますが、実際のところ実物の画材とはあくまで別の素材として捉えるべきですしね。油絵を学んだ人間としてはちょっと違いが気になるというだけです。Artrageなりの使いこなし方をマスターすれば十分イケそうな感触。値段を考えたら上等なできですよ。
ただし、実物の画材を使いこんでいる人にはPainterを強く薦めます。

公式ページ→Artrage
steam版はsteamのクライアントを起動していないとArtrageが使えないので注意。その代わりセールで安く買える事も多いです。


 
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画材再現系ソフト雑感

ArtRage4を使ってみてつくづく感じた事。「やっぱり本物の画材の代替にはならない」「頭を切り換えてデジタル用の描き方を身につけないとダメ」なまじ中途半端に絵具っぽいからタチ悪いな。頭の切り替えがスムーズにいかない。かえって違いが強調されて気になってしょうがない。

再現する素材によっては物質性のなさがかなり気になる。油絵具みたいなやつね。絵具が積み重なって自然に厚みを増していく。それが魅力のうちでもあるんだが、CGだと厚みが一切ないからどうにも物足りない。何を今更って話なんだが、気になるんだからしょうがない。内部的には顔料の粒子の動きなんかをシミュレートしてるらしいんだが、厚みはどうにもならんわなぁ。速乾で何度も塗り重ねても厚みが全部同じにしか見えない。インクや水彩ならこういうのは気にならんかな。

できたらデュアルモニタにしたいところだね。メインの描写用と全体表示用の2つ。そうじゃないと細部と全体の描写バランスを見ながら進めにくい。ズームインアウトして確認するのがどんどん面倒くさくなる(ルーペ機能みたいなのでもいいけど)。普通に絵を描く時は自分が近づいたり離れたりしていて、このほうが手っ取り早いし楽だ。これは完全に経験不足なんだろうけど、どのくらいのテクスチャの見え具合が適切なのか勘が働かないのよ。

ペンが複数登録できるタブレットもあると便利そうだ。ブラシの選択の手間って意外とバカにならない。私が使ってるタブレットはプリンストンのPTB-S1BKなんだけど、要求する筆圧が高めでほんとに困ってる。調子にのって描いてると次の日に腱鞘炎の痛みで苦しむ事になる。古いバンブーもその前に使った事があるけど筆圧に関しては大差なかった。
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製作途中の状態を保存できるし、乾燥させるのも自由自在。ちゃんとしたワークフローを確立できれば絶対に制作早いはずなんだけど、正直な気持ちとしては「絵具と筆で描いた方が手っ取り早い」なんですね。つくづく私って原始人ですわ。

画材再現系で使うならPainterなんだけど、もう試用期限切れちゃった。Essencial4じゃレイヤー周りの仕様が変だったりブラシ毎に筆圧の設定ができなかったりなど色々と不便。Painter Essencial5やLiteは試してないから何とも言えない。ArtRage4は機能、性能と値段のバランスが良いから文句ばかり言ってるけど悪印象は全くない。

ただですね、液晶モニタでの制作や鑑賞が主体という点を考えると、仮にPixivなんかへ投稿する絵を描くとしたら私はSAIを選びます。操作性が良いのも大きいし絵具感がないのがCGには素材としてマッチしてるかな、と思うので。CGで油絵って特長をあまり活かせてないし。
他者との差を出すための戦略としてだったら選ぶかもしれないけどね。


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