BenQ液晶ディスプレイ「GW2470H」レビュー

2017年3月10日

現在所有している2190UXiは壊れかけだしEA232WMiはへたってきた感じだ…。そろそろ代替を探さにゃ。

聞くところによるとVA方式のパネルは目に優しいらしく、しかも黒が締まるのでコントラストが高いらしい。しかし近年はIPSパネルの価格が下がった事もあり、ゲーム用途でTN、それ以外はIPSのディスプレイがほとんど。VAを採用したモデルを出しているメーカーも少なくなってしまった。

まあ、早い話が絶滅前にVAパネルを試しておきたかっただけ。何せ2190UXiなんて国内で入手不可能になってから欲しくなったので仕方なく個人輸入するはめになった、ああいうのはもうたくさんだ。

タイミングやショップにもよるが激安で売られてて、自分の場合は約14k円で購入。この金額ならハズレでも痛くない。最初に結論から書いてしまうと「この値段でこの出来なら大満足」というところ。

外装その他

本体はとにかく薄い・軽い、ついでに高級感はなし。取手のような安心して掴める部分がないので、箱からの取り出しやスタンド装着時など持ち方に注意が必要かも。外箱のサイズも小さく、およそ65×40×12cmというところなので保管場所にも困らない。

付属のスタンドは高さ調節ができないうえにベゼル下から机まで10cmぐらいある。VESA穴があるので他からスタンドやアームを流用したほうがよい。

設定などの操作ボタンはベゼルの右底面に配置。邪魔にならないのはいいがちょっと操作しにくい。

接続コネクタはHDMIが2つとD-Subが1つ。ケーブルもそれぞれ1.5mのものが付属。DVIがないのが痛い。現在BenQでGW2470H購入者にHDMI→DVI変換コネクタプレゼントのキャンペーン中(数量限定)。一応は貰っとこうかねぇ。
(後で気づいたのだがGW2470HMというモデルがあり、そちらはDVIとHDMIがそれぞれ1つづつ。一応スピーカーもあり。こちらを買うべきだった。)

ヘッドフォン端子は一応あるけれど音質が悪いかな。

追記:変換アダプタ到着。Amazonなどで売っているカモン HDMI19ピン→DVI24ピン変換アダプタ【24M19F】ですな。DVI延長ケーブルの先に装着して、そこから付属のHDMIケーブルをモニタに接続して問題なく使用できてる。

ファクトリーモード(BenQ Service Page)
Menuボタンを押しながら電源ON
入力に成功していれば通常のメニューの代わりにファクトリーモードになり、紫のロゴ画面表示のON/OFF設定や使用時間の表示などが可能に

画質

購入したそのままのファクトリー設定で表示される画面はムチャクチャなのでそれで評価しちゃダメ。あくまで自分で設定を詰める事が必要。
Lagom LCD testなどを参考に設定するとよいです。

youtubeでEIZOのEV2450と比較して暗部が潰れるとか値段なりの差があるとか評価してるのを見たけれど、あれはおそらく何も調整していない素の状態で比較してるだけですな。あんなの何の参考にもならん、つーかあれじゃネガキャンだよ。

HDMI接続の場合はちゃんとRGBフルレンジで出力ができているか確認。できていないと輝度レンジが16-235になって画面が白っぽくなるらしい。自分の場合はRADEON+Linuxだったが特にPC側での設定はなしでも大丈夫だった。

パネルの表面はアンチグレアだがザラつきは少なく滑らか。そのぶん周囲からの反射も若干目立つような感じ。ドットの粒が目立たず、黒が艶のある漆黒という感じで美しい。また、ザラつきによる乱反射がないせいか描写にシャープ感がある。

割と狭め?のベゼルだけれど明るさの均一性は良好に見える。暗くした部屋で黒一色の表示にしても隅の光漏れは無いようだ(個体差はあるかもしれん)。

視野角

話には聞いていたが角度によるコントラストの変化は予想以上に大きかった。
意地悪く頭の位置をあれこれ動かして見ると明部はあまり変わらないが暗部の微妙なコントラスト変化はすぐ見てとれる。とはいえ、距離にもよるがちゃんと画面の中心と正対していれば「画面の端でコントラストが変わっちゃう」みたいな事はあまりない(全くないとも言いきれない…)。

ここで付属スタンドだと高さ調節ができないというのが問題になるのだな。楽な姿勢でディスプレイを見るためにも高さ調節のできるスタンドに交換すべし。自分はEA232WMiのものを流用。

色・階調表現

事前の情報収集ではAMVA+パネルは色が薄いとよく見かけたのだが、全っ然そんな事なし。GW2470Hの場合むしろ色が濃すぎるぐらい。どうやらガンマ値がどの設定でも高すぎるのか中間調が落ち込み気味のため重い発色になっているようだ。

点線がsRGBの色域

階調は素直といえば素直なのだが、最暗部が近くなると急激に落ち込んで肉眼で判別不可能になる感じ。CD付属のGW2470Hのiccプロファイルで見た色域だと青からマゼンタにかけてsRGBに少し足りず、緑-黄-赤にかけては越えている。sRGBのカバー率だけでいうと2190UXiとほぼ同じで紫寄りの濃い青が苦手。

色域を3D表示するとこんな感じ

画質設定

いじり出すと泥沼に嵌る……もう疲れた。

sRGBモードは設定をいじれない項目も多いが、とりあえず色だけは無難にまとまる模様。

「輝度」

初期設定ではとんでもない明るさだが、かなり明るさを絞る事が可能。BenQだから輝度落とせないだろ、みたいな決め付けはだめ。
自分の場合10前後で使用中。

輝度を落としても暗部描写にはさほど影響しないので見易い明るさまで遠慮なく落としてOK。ちなみに輝度は数十単位で上げてようやく暗部で潰れるかどうかの見え具合が256段階中の1〜2変わるってレベル。輝度の上昇で黒も浮いてきちゃうから調子に差が出にくく、暗部の持ち上げ目的だとあまり意味がない。

「コントラスト」

どうも一般的な意味でのコントラストではないっぽい。輝度との違いがよくわからない。8bitパネルという都合上、結局デフォルト値の50からあまり動かさないのが無難と思われる。

「ガンマ」

デフォルトのガンマ「3」だと輝度0-255中の10以下になると急激に落ち込み、肉眼での階調の判別が非常に厳しい。暗部の階調表現を豊かにしたい場合はガンマ設定をいちばん低い「1」まで下げる事が肝要。

これで画像の輝度0-255のうち5-253ぐらいは輝度にもよるが確実に見分ける事が可能になる。背景0に対し4はかすかに見えるぐらい、3は厳しい。適切な設定であれば背景255に254も判別可能(でもその時の体調にもよるギリギリな感じ)。

Webでよくあるグレーと黒ドットの市松模様のガンマ判定を使うと異様に高いガンマ値と合致してしまう。「1」でも2.4並か?sRGBモードで推定3.0前後、もはやsRGB規格って何?状態。(付属iccプロファイル未適用時)

Linuxだとガンマ設定「1」にxgammaで1.1を指定でガンマ2.2相当の映像になるっぽい。標準であろう「3」だと1.3ぐらい?8bitパネルなので情報は劣化するだろうから痛し痒しだなぁ。Windows環境は起動が面倒なので試しておらず。

市松模様のテスト画像以外では「3」が適正に見えたりする事もあって、もう訳がわからない。コントラストの高さゆえに中間調の再現が暗めに感じるのだろうか…。
(動画の再生を観る限りでは「3」がガンマ2.2で正しいようだ。)

Tone response curves GW2470H

付属のiccプロファイルを適用するとガンマカーブが補正されるようで中間調がわずかに持ち上がるっぽい。

追記:その後、何が原因かわからないがガンマ設定「1」でちょうど2.2相当に見えるようになった。sRGBモードも2.2ぐらいになり暗部も潰れずまっとうな表示に。

「シャープネス」

Lagomでチェックした限りでは4が最適値でこれより上げる必要はなし。5から上はシャープネス処理によりリンギングが出る。好みでもっと下げてもよい。

「色温度」

標準・薄青・薄赤の3つとユーザー設定で計4種。ケルビン値の表示はないからかえってわかりにくいぞ。薄赤はsRGBに近いがもう少し低い色温度。これら3つのプリセットを使うと色の調整はできない。

ユーザー設定でRGB毎に0〜100を指定して色調整。
RGB全てを下げれば彩度も下がるので設定の「彩度」でコントロールするよりこちらがいいかも。

Linuxでのiccプロファイル適用方法がようやくわかったので、さっそく付属iccプロファイル適用してみた。すると見事にユーザー設定を何もいじらず(R100、G100、B100)外光の影響のない暗くした室内や色評価用蛍光灯下においてキレイなニュートラルグレーが出るようになった。しかもsRGBモードよりもグレーの転びが少ない。(白→黒のグラデを表示させると明るさによって赤みがかったり緑に寄ったり違った転びかたになる…。)
色温度はsRGBモードより高めではあるが、sRGBモードがどうも6500Kじゃなくて5500K前後ぐらいのような感じの色合いに見える。(デジカメで画面を撮影してRAW現像するとこれくらいの色温度とマッチする)
色々数値をいじって試行錯誤してた数日間は何だったのだろうか…。

動画視聴&ゲーム

AMVA+の良い面、悪い面が両方。
とにかく黒がちゃんと黒く、しかも暗部の階調も見えるので映像のクリア感がIPSとは段違い。(そうはいっても部屋の照明を消すとけっこう黒が明るくはなるが)

その一方で、VA方式の弱点である応答速度の低さが露骨にわかっちゃう。BenQのオーバードライブ「AMA」を高に設定していてもEA232WMi(ODなしe-IPSで14ms)より少し悪いかな。暗部の応答速度が特に悪いようで中間調や明部はIPSとあまり変わらない。デスクトップの壁紙が暗い色合いだとAMA「高」でもマウスカーソルがわずかに尾を引く感じ。

AMAは「OFF」→「高」→「プレミアム」の順で強力になるらしいが、「プレミアム」にしたからといって残像感がなくなる訳ではない。というかプレミアムにするとオーバーシュートのせいか、かえってカクついて見えるような気がする。

自分としては映像のクリア感のインパクトが絶大だったのでプラス面のほうが大きい。動画プレイヤーはガンマ補正ができるものを使うといちいちディスプレイ側の設定を変えなくても済むので何かと便利。(LinuxだとMPVをSMPlayer経由とか)

遅延は特に感じないので「60Hzなんて使い物にならない!」って人以外ならゲームもそこそこ大丈夫かな。

このくらいのゲームなら残像はほぼ気にならない

GW2470Hに限った話ではないが液晶モニタの残像感はフルスクリーンなどで大面積が動く、あるいは単純に移動量が速く大きい場合に目立つ。

写真鑑賞

厳密なマッチングが必要な人には使いものにならないかな…ってこの価格帯でそんな期待する人もいないか。
Webで公開した時に他人の環境でどう見えるのかイマイチ予想できないというあたりがマイナス点。色域そのものはsRGBをほぼカバーしてるんだけど、Linux側の問題かもしれないがガンマ絡みが訳わからん。
視野角による微妙なコントラストの変化は現像だとツール類が左右に配置されているソフトが大半なのであまり問題にはならないんじゃないかと。

その一方で他者や他のデバイスでの表示は気にしないと割りきってしまえばVAならではの画質が魅力的になってくる。他方式(TN・IPS)の約3倍のコントラスト比3000:1からくる黒の締まり。それにも関わらず潰れが少ないため階調がとても豊かに感じる。
ポジフィルムをライトボックスで透かして見るのが好きな人ならハマる描写かも。

黒の濃度の高いVAの描写はモノクロもいい感じ。IPSだとBW400CNの同時プリントみたいに黒が純黒にならず何となく下手なプリントっぽい見え方になるんだよね。

IPSで階調を明から暗までしっかり出そうとすると輝度をかなり高くする必要があり、その状態だと眩しくて常用には厳しい。GW2470のAMVA+だと眩しくないレベルまで輝度を落としても暗部の見え具合にあまり変化がない。普段使いの設定のままで現像やレタッチできるってのはほんとに楽だ。

目の疲れについて

GW2470Hは白がしっとり滑らかでキレイだがそのぶん眩しく感じるため輝度を相当抑えないとツラい。幸い、輝度はかなり落とせるのでその辺は問題ない。この傾向はNECの2190UXiに近い感じか。
輝度が高すぎたり距離が近すぎたりすると目の奥が痛くなる。輝度を適切な値に調整し最低でも60cmぐらいの距離をとって見ているぶんには疲れづらいような。
まあ、使い始めたばかりだからフリッカーフリーの効果も含めて目の疲れにくさに関してはまだ評価はできない。

自分の使ってきたディスプレイを疲れにくい順に並べるとこんな感じ。
L565(S-IPS)>2190UXi(SA-SFT)>EA232WMi(e-IPS)
GW2470Hはやはり2190UXiが近いかなぁ、ちょっと落ちるか?なぜかわからんが、他のディスプレイより近づいて凝視した時の疲れが大きい気がする。

ブルーライトなんたらは…電磁波防止グッズやマイナスイオンやらと同じようなモンですな。青を落としたセッティング追加するだけで新機能を謳えるんだから、言ったモン勝ちやったモン勝ち。そらどこのメーカーも採用するわなぁ。
L565が疲れにくかったのは経年変化で黄色く染まってるから…なんて訳でもあるまいし。

総評

VA方式のディスプレイは初めてだったが予想以上に良いですな。奥行とか光の表現がかなり変わるので写真や動画を色々見比べたくなる。

それまで使っていたEA232WMiの半額の癖に階調表現が凄く良くなったので満足感が高い。ブラウザその他で見えなかった階調や色が見えてきて感激する…というより「どんだけ狂った環境でPC使ってたんだ?」と冷や汗が出る。
EA232WMiもTFT CENTRALのテスト結果悪くなかったし、購入時にちゃんと階調が出るように調整したはずなんで気づかない間にヘタってたんだろなぁ。

DVI接続がないとかスタンドの高さ調節ができないとか値段なりのショボさはしょうがない。パネルの性能は残像が気になるようなゲームをするとか、カラマネ必須みたいな人以外には必要十分。安IPSの6bit+FRCよりこっちのほうがいいんじゃないかな?
万人向けとはいえないがコストパフォーマンスの高い逸品。
簡易レビューのはずが5000文字を越えてしまったが、それくらい気にいってるという事で……

 
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