panpanya『動物たち』&『蟹に誘われて』

panpanyaの作品は全て短編で雰囲気は川原泉のエッセイ漫画や吾妻ひでおのSF短編に近いゆる~い感じ。まあどう見てもメジャー路線ではない、裏街道まっしぐらな作風ではある。

何だか妙~に絵がうまい。いわゆるマンガ・アニメ調じゃなくて美大で油絵か版画科にいたんじゃないかな~という絵ですね、これ。スクリーントーンはほとんど使わず濃淡はハッチングやカケアミ、線はフリーハンド。擬音の文字が往年の松本零士っぽいデザイン。

描かれる町並みはどこか古ぼけていて、家電や車のデザインも昭和だなぁ。TVなんてチャンネルをガチャガチャ回すやつだし。しっかり描きこまれた背景と対照的に人物の描写はすご~くいいかげん。しかも人物だけが鉛筆で薄く描かれている話も多い。

お話のほうはちょっとした空想や妄想をとぼけた雰囲気の小話に仕立てあげたという感じ。子供時代を思い出させるような視点や夢想、そこから漂う楽しさや過ぎ去った物への懐しさ・切なさを感じとれる人は気にいるはず。何か深い話とか感動的な物語を期待されるとガッカリするかも。

話毎に設定は変わるけれども登場するキャラクターは同じで描き分けなし。おかっぱ(絶対にボブではないと思うぞ)で川原泉自画像似の主人公とロングヘアの友人、そしてオブジェ頭のおじさんがレギュラーというか、ほとんどの短編がこの3人だけで話は進んでいく。(このオブジェ見覚えがあるんだけど何なのか思い出せぬ……)
あとは擬人化された犬などの動物も準レギュラーか。話の都合上どうしても必要な時のみ背景っぽく人々が描かれる事はある。こういう感じがどうにも人嫌いっぽいというかコミュ障っぽい人なんじゃないかと思わせるのだな。

頭に浮かんだイメージを一枚の絵でまとめるのはちょっと無理。連作でも厳しいか。
展示やっても来客にいちいち世界観やら説明するのめんどくさそう…。どう見ても人が苦手そうな気配が漂ってるしなぁ。
じゃあ、マンガだったら物語仕立てで表現できるか……なんてpanpanyaストーリーを勝手に想像しちゃいますね。

これらの短編のほとんどは『楽園』という雑誌に掲載されているのだが、この雑誌の惹句は「恋愛系コミック最先端」だそうです。panpanyaの作品って恋愛要素ひとっかけらも無しなんだけど、いいのかそれで。

私が『動物たち』に収録されている作品で好きなのは『猯』、『狢』。『蟹に誘われて』だと『大山椒魚事件』。
『猯』は同人誌の作品。夜の町を猯と逃げている場面と”動物捨て機”が妙にツボにはまって…。他の単行本でもそうだけれど、楽園に掲載された作品よりも同人誌の作品のほうが私は好きみたい。
何かこう、ほんとに自分の好きなように描いてる感じがいいんですよね。

 
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